子ども(小児矯正)
のメリット

なぜ子どもの時期から
矯正治療を始めるのがよいのか、またその目的は?

子ども(小児矯正)のメリット

小児矯正のメリット

このテーマをよく理解していただくために、なぜ子どもの時期から矯正治療を始めるのがよいのか、またその目的は?というお話をしてから、まとめとして「小児矯正のメリット」の話に移ります。

「なぜ子どもの時期から始めるのがよいのか」について。

子どもと大人との違いは、骨の成長があるか、否かです。たとえば、出っ歯や受け口といったようなかみ合わせの場合、その原因のひとつは歯が植わっている上下顎の骨の関係が不調和になっているためです。子どもの場合は、その原因の主体である上または下の顎骨に直接矯正力を作用させて、出っ歯や受口の特徴ある顔立ち(横顔)をよい方向に改善できます。(図―1)大人の場合は小臼歯等を抜歯して対応しますので、口元のみの限局的な改善になります。

図―1
(図ー1)

次に、叢生(歯がガタガタして並んでいる状態)の場合は、歯が並ぶ場所が顎の骨の上で不足している状態ですので、将来永久歯を抜かないで排列できるように第1大臼歯(主に上顎)を後ろに移動して場所づくりをしておきます。第2大臼歯が萌出してくる(一般的に12歳前後)前にこれをするのが望ましいですから、子どもの時期にすることになります。ただ、第2大臼歯が萌出してしまったら場所づくりはできないかと言われれば、そうでもありませんが、治療が複雑になり難しくなります。このように小児期に開始すると、将来の永久歯抜歯を避けられる可能性が非常に高くなります。(図―2)

図―2
(図ー2)

また、不良習癖が原因で起こっている不正咬合も比較的容易に(患者さまの努力次第ですが)改善することができます。たとえば、舌の癖です。普段舌の先を上下前歯の間に出している癖や、食べ物を飲み込む時に舌を前に出して飲み込む癖が挙げられます。このような癖がありますと、かなり高い確率でかみ合わせた時に上下前歯の間に隙間が開いてきます(これを開咬と言います)。前歯でハンバーガーが噛み切れないという事が起こってきます。小児期の開咬は、小学低学年の頃に舌の訓練(筋機能療法と言います)を熱心にすれば改善します。(図―3)
 以上の事から、小児期に始める矯正治療の目的は、永久歯列が完成する(一般的に12歳頃)前に、顎骨や歯槽(歯を取り巻く薄い骨),筋(舌も含めて)の不調和を改善しておくことにあります。

【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクと副作用】

後戻り、歯根吸収、う蝕、歯周病、疼痛等があげられます。

(図ー3)
(図ー3)

小児期に矯正治療を
始めることによるメリットは

  1. 永久歯の抜歯や成人後の骨きり等の外科的処置を減少させることが可能になります。
  2. 矯正治療では付き物の後戻りの原因になる不良習癖が改善された状態で永久歯咬合を創っていくわけですから、出来上がったかみ合わせはより安定することになります。
  3. 治療期間については、もし叢生がある状態で永久歯咬合から治療を開始するとトータルの治療期間はこちらの方が若干短くなるかもしれませんが、永久歯を排列する時に用いるマルチブラケット装置の装着期間は治療が複雑になる分必ず長くなります。
小児期に矯正治療を始めることによるメリットは

この装置を歯面に長期間付けるという事は虫歯になりやすいという事につながりますから、小児期に非抜歯治療の準備をしておき永久歯がすべてそろった時点で短期間(約1年半)で永久歯を排列して保定に入るという事は大きなメリットと言えます。

歯並びが悪い場合のデメリット

  1. 虫歯や歯槽膿漏になりやすい(口臭が発生しやすい)
  2. 良く噛めない
  3. 顎の成長、顔かたちに影響する
  4. 口もとが気になる(コンプレックス)
  5. 発音しにくい

お子さまが成長していくと様々な悩みがでてくることが考えられます。子どものうちに早期に治療する事をお勧めします。